あさイチにプレミアムトークゲストに元厚生労働事務次官の村木厚子さんが登場し、あの冤罪事件や今の活動など赤裸々に語り、その人柄を慕う声がSNSで話題をよんでいます。
その中で、村木さんが精神的に耐え難かった20日間の拘置所生活で差し入れされた1冊の本「一日一生」を紹介したところ、amazonで売り上げ1位となっているではありませんか!
この本は天台宗大阿闍梨の故・酒井雄哉氏が生前書かれた著書です。
今目の前で自分が逮捕されるかされないか差し迫るという、まさに絶望の中、「一日一生」は村木さんにどんなメッセージを届けたのか?
目次
村木厚子「一日一生」との出会い
村木さんが大阪地検特捜部に逮捕されたのは2009年6月14日、当時、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長を務められていた時でした。
拘置所の独居房は薄暗くて寒くて、それだけでも精神的に落ちるのに、当時の担当検事に説明しても村木さんを逮捕するというベクトルが徹底されていて、いわゆる村木さんの説明がスルーしていく状態だったようです。
当時の心境をご本人がこう証言しています。
起訴されるまでの20日間は本当に苦痛で一日が終わると、拘置所の独居房に張ってあるカレンダーを穴が開くくらい見て、「今日も一日が終わった。あと○日だ」と自分を奮い立たせていました。
そんな絶望の中、差し入れで届いたのが「一日一生」なのです。
「一日一生」とは
著者の故・酒井雄哉氏によると、
一日一生とは、「一日を一生のように生きよ、明日はまた新しい人生である」
と仰っています。
著者・酒井雄哉
学業や仕事の失敗、結婚後2か月で妻が自殺するなど波乱に満ちた半生の末、酒井氏は40歳という異例の齢で比叡山延暦寺の門を叩く。
酒井氏は千日回峰行という7年間にも及ぶ過酷な修行をし、一度でも死者が出るほどの難行ゆえ満行すると「生き仏」として信仰されるほどの荒行を2度も達成し、最高位である大行満大阿闍梨の尊称を授かる。
千日回峰行を2回達成したのは、歴史上まだ3人しかいない。
「一日一生」が教えてくれること
苦しいことは苦しいでいい
「どうしようもなくなったら、空っぽになってみるの。しらっと、とぼけちゃって、自分をちょっと外から静観してみるとかさ」
「いつ死んでも、人間として恥ずかしくない生き方をしていたら、それでいいのとちがうかな。投げやりではなく、静かな覚悟ということ」
生きていると誰にでも悩みやトラブルなど苦しい状況におかれることがある。
それを「苦しくない」とか「解決法」とか「癒し」など無理に回避しなくていい、ありのままに捉えればいい。
解決法など今や情報はたくさんあるけれど、実践するのは自分。
ありのままに捉えた自分が、どう行動するのかだけ。
コツコツ懸命に続けると自信になる
「私はこれで生きてきます」と確固たるものがなくとも、10年続けていれば10年分の道が絶対にできる。
それが自信。
やるのは自分
千日回峰行というのは「不退行」だから、後戻りは許されない。
どんなことがあっても、ぐいっと爪を立てて山を登っていかなければならないんだ。
断食・断水の「堂入り」のときなんか、4日目くらいになると自分の体から死臭が漂うのがわかるんだよ。
それでも真言を唱えながらひたすら耐える。
それは、自分というものを信じなければできないことだ。https://president.jp/articles/-/10095?page=3より引用
不安な時や何か困ったとき、アドバイスをくれる誰かがやってくれるのではない。
自分の今は、自分の行動でできている。
自分を信じて「自分はこれを必ずやり遂げるんだ!」という強い意気地を持つことが大切。
今日の自分は今日でおしまい
千日回峰行は毎日同じ道を歩き、行をするけれど、毎日同じことの繰り返しではない。
昨日と今日と、明日の道は全く別の物。
だから、今まであることをやってきたけれど、明日は全く違うことをしたっていい。
大事なことは次のステップに経験を生かすこと。
「一日が一生、今日のことは今日でおしまい。明日はまた新しい自分になって、新しい感覚で進んでいけばいいんだ」
今日1日を大切に生きる
酒井さんのように、なにかきっつくて特別な事をしないと修行にならないと思いがちですが、酒井さんは「人は生きること自体、すべて、行なんだよ」と仰いました。
「一日一生」と村木厚子
拘置所で読んだ時
不安と緊張で先が見えず、この状態がいつまで続くのか、体力と精神力がいつまで持つかわからない中、明日からは新しい一日が始まるのだから、今日をきちんと頑張ろうと思えました。
とにかく「今日のことだけを考えよう」と思いました。
それなら私にもできると思え、すごく楽になったんです。
https://wol.nikkeibp.co.jp/article/trend/20120702/128924/より引用
私もいくつか心理本を手に取ったことはありますが、村木さんのようにすぐに気持ちが切り替わった経験はありません。
それは村木さんの状況が私と比べるに値しないものであることも非常に大きいとは思いますが、村木さんには「一日一生」を生かせる最大の才能がありました!
村木厚子の才能
それは自信です。
省庁で働くバリバリできる女性のモデルともいえる村木さんですが、ご自分を劣等生と仰います。
劣等生だった私は係長になったとき、「今の私ならいい係員になれる」、課長になったとき「今の私ならいい係長になれる」と考えた。
そう考えると、「進歩してるじゃない!」と思えたんです。
毎日目の前にあるものの積み重ねて、ふと振り返ったときに本線ができているんじゃないでしょうか」
https://wol.nikkeibp.co.jp/article/trend/20120702/128924/?P=2より引用
先に、
「私はこれで生きてきます」と確固たるものがなくとも、10年続けていれば10年分の道が絶対にできる。
それが自信。
と言いましたね。
つまり、村木さんには自信があったから、不安に苛まれても、それをありのままに捉え、コツコツ懸命に励むこと(村木さんの場合は毎日の尋問)ができたのではないでしょうか?
カレンダーに穴が開くほど日を追った20日間を“20日間”と捉えず、新しい1日を20回過ごしました。と清々しく話される村木さんの表情が目に浮かびます。
まとめ
「自分に自信はありますか?」と問われて
「はい!ありまくりです!」と答える人ってちょっと宇宙人的な感覚でいますが、どこかでとても羨ましいとも思っていました。
「自信は後からついてくるもの」とよく言いますが、今回村木厚子さんと「一日一生」を垣間見て、子育てしている私だけを切り取ると、ママやってる数年間の道って私が作ってきたんだ!とこれが自信かなって少し自分をほめてあげたくなりました。
村木さんははこうも仰っています。
拘置所にいる20日間は、仕事もないし、家事をすることもなかったので、今、誰かのために何かできるというのはとても幸せなことなんだな、と感じた。
この真意が現在の「若草プロジェクト」にも色濃く反映されていますよね。
特に専業主婦なんかは感じることですが、家庭にいるといつも誰かのため。
自分以外のことに追われ、自分がなくなり一日が過ぎていく。
それに対する目に見える対価がない。
いつのまにか「誰かのため」が嫌になる。
気休めかもしれないけれど、今日子どものため、旦那さんのためだけに何かしたあなたは、子どもや旦那のために何かできる心の持ち主なんですよ。
素晴らしい!