12月7日から全国公開され、話題になっている映画「パッドマン」。
妻が生理の時、汚れた布を使用する不憫さから救いたいと安価なナプキンを研究、開発し製造を農村の女性に託し、雇用を産み出した一人のインド人男性の功績を描く実話に基づいたムービーです。
日本で暮らす私たちにとっても”生理”ってデリケートではありますが、昨今では生理休暇なるものが存在するほどフランクになりつつありますよね?
でも、舞台がインドとなると「生理」と発言することも躊躇われる背景があることをご存知ですか?
この機会にインドの生理事情深く理解してみませんか?
目次
インドの”生理”観
映画「パッドマン」の舞台はインド。
主人公のモデルはムルガナンダム氏。
生理ナプキンが材料費の40倍もの値段で売られていることを知ったムルガナンダムは、ナプキンの手作りに乗り出すが、インド社会ではいまだタブーの生理に触れる彼の行動は様々な波紋を巻き起こす。
(引用元:http://www.padman.jp/site/)
なぜ生理がタブーとされているの?
女性軽視
インドは目覚ましい発展を遂げつつあり、IT産業をはじめ、世界を舞台に活躍できる人材を産み出している一方。未だにカースト制度の名残が色濃く存在する社会でもあります。
特に女性を軽視する風潮が強くあり、集団レイプなど女性が悲惨な目に遭う事件が後を絶たない現状でレイプ大国と言われることも。
インドのカースト制度はヒンズー教義を広める役割を担うものとして制定されました。
ヒンズー教の法典である「マヌ法典」の条文の中に
「この世において男を堕落させるのは女の天性である。故に賢者は女に対して心を許してはならぬ」(2・213)
「何となれば女この世において、愚者のみならず賢者をも、欲望と怒りの奴とし、邪道に導くものであるから」(2・214)
「少女、若い女、老女を問わず、女は何事も独立になしてはならない。家事においても然りである。」(5・147)
「女は幼児には父に、若いときには夫に、夫の死後には子に従属する。女は決して独立することはできない。」(5・148)
とあります。
このようなことから、女性は男性に虐げられ、社会には出ず、家にいるもの!という考えが未だに強く残っているようです。
生理は不浄!?
またマヌ法典より、抜粋しわかりやすいように編集しています。
「月経中の婦人の触れたもの、娼婦あるいは不貞の女によって与えられたもの、妊婦のために用意された食物、産後10日を経過しない婦人によって与えられたものは決して口にしてはならない。」(4・206-212)
「婦人あるいは去勢者によって供養された祭儀においては、食をとってはならない」(4・205)
「チャンダーラ(最卑賤階級のもの)、豚、牡鶏、犬、月経中の婦人および去勢者は
食事中の再生族(上位三階級のもの)を見てはならない」(3・239)
「たとえ情欲に激しても、月経中の妻に接近してはならない。また臥床を共にしてはならない。」
「月経中の婦人に接近する男の知力、威力、体力、視力、寿命は減退する。」(4・41)
「独りで空き家に眠ってはならない。眠っている長上をおこしてはならない。月経中の女と語ってはならない。」(4・57)
このことから、生理が不浄なものとして忌み嫌われる扱いとなっているのですね。
実際に、現在でも寺院やけて位の台所への立ち入りが禁じられる場合もあるようです。
このようなことから、インドでは「生理」と発言することも躊躇われ、ましてや生理用品などの女性が月経中快適に過ごせる配慮がほとんど整えられていません。
インドの生理事情
ここまではインドの生理観として、インドにおける「女性と生理」の考え方を理解しました。
ここからは、とはいえ、生理の時、実際はどうしてるの?という部分を調べていきましょう!
ナプキン使用は一部富裕層だけ
映画の主人公の妻であるガヤトリは生理中、不衛生な布を使っていましたね。
15歳~24歳の62%が布を使用
2015年度「国家家族健康調査(第4版)」より
都市部で3割、地方で1割が生理用ナプキンを使用している。そして富裕層でも、家では布を使う人もいるそうです。
他、経済的余裕のない人は土や灰を利用することもあるそうです。
ナプキンの値段は?
都市部のスーパーマーケットやドラッグストアでは日本でも馴染みのある生理用品が買えます。
お値段は5,6枚で約1,000円!
超~がつく高級品!!
インドの生理における問題
生理期間中は差別的側面と金銭的に生理用品を購入できないことから、
外出できない
学校を休学、退学する子がいる
ナプキンが買えない人は布を使いますが、経済的な理由や人目を避けて管理せねばならないことで
不衛生な布を使い続ける
病気などのトラブルを抱える
これらが主な問題となっています。
世界からの支援
このような問題から救うべく、インドの生理事情を支援する活動が行われています。
日本のNGO「Girl Power」
日本のNGO「Girl Power(ガール・パワー)」はインドの少女を対象に衛生教育や布ナプキンを提供する「Happy Pad Project」を立ち上げ、
衛生教育の提供
生理用パッドの提供
現地生産による雇用の創出
をされています。
ヘンリー王子♡メーガン妃
イギリス王国のヘンリー王子とメーガン妃はご結婚の際、
結婚祝い品としてのギフトはインド人への生理用品にしてくださいとの声明を出され、世界中に称賛されました。
まとめ
小学校の性教育で初めて学んだ月経・生理ということ。
女性であればとても身近なことが、命を生み出すための準備という大事なことが、当たり前に迎えられない環境があることを知りました。
映画「パッドマン」を通じて世界中の人が声をあげ、まずはインド人の女性へ対する意識が変わってくれることを願っています。